ブラックベアやうさこちゃん…通称ミッフィーの産みの親"ディック・ブルーナ"さんについて
以前の記事で、12色への拘りと思いを語りました。
もうひとつ、その拘りを持つ"きっかけ"になった人物がいます。
"絵本作家ディック・ブルーナ"
1927年 オランダ ユトレヒト出身。
1953年に"りんごぼうや"で絵本作家デビュー。1955年にスタートした"うさこちゃん"シリーズは、日本では1964年から出版され"ミッフィー"の愛称で親しまれ続けています。
ブルーナさんの絵本はシンプルな構図と文章、少ない線や色が特徴であり、魅力の一つ。
絵本作家である前にグラフィックデザイナーであった彼は、街中でも一瞬で目を惹く、いかに印象を与え、伝えたいメッセージを一瞬で伝える事を常に大切にしてきたそうです。実際、白い紙に点二つ、小さなXを描くだけで、なんとなく"うさこちゃん"を思い浮かべないでしょうか?
こんなにシンプルな構図で想像させられるキャラクターは、なかなかいませんよね。ブルーナさんの世界は、グラフィックデザインのキャリアから産まれた"シンプルの極み"だと僕は思います。
"ブルーナ・カラー"
シンプルなのは少ない線や構図だけではありません。
なんと、絵本に使用される色はたった6色!
これは通称ブルーナ・カラーと呼ばれています。
なぜたった6色で、多くの子ども達や大人たちに響く絵本を描けるのだろう?
ブルーナさんは、この6色にこんな意味を込めていたそうです。
「赤」…喜び、楽しさ、幸せで豊かな空気のイメージ。温かい、愛情の色。
「黄色」…明るさ、楽しさ、赤や緑に温かみを与える。
「緑」…安心、安定、樹木など。
「青」…悲しみ、静けさ、冷たさ。
「茶色」…落ち着き、こいぬなどを塗る為。
「グレー」…バランス、ぞうさんなどを塗る為。
洗練された6色の世界は、それぞれの色に込められたブルーナさんの思いで溢れていました。
この色の意味を思い出しながら絵本を読むと、気づかなかったメッセージや発見があるかもしれませんね。
また、ブルーナさんの絵本に登場するキャラクターは、正面を向いていることが多いです。
これは、"本を読んでくれているあなたと、私達も向き合っているよ"というような思いが込められているそう。
こういう部分にも、ブルーナさんの絵本に込められた暖かさを感じます。
まだまだ語りきれない彼の魅力ですが
少ない色でしか出せない魅力、削ぎ落としたらこそ伝えられるメッセージがある...。
そんなことを、ブルーナさんは教えてくれました。
RYO NAKAYAMA