-福生-
洒落っ気づいてきた年頃に、青梅から自転車で遊びに行ったのは米軍基地のある街、福生。戦争時代から多くの外国人が住み、今でも異国のような空気感や独特の街並みが残っています。
中でも当時"赤線地帯"と呼ばれた飲み屋街は、お店や雰囲気は時代とと共に変わりつつも、今でも週末の夜は、音楽や酒を楽しむ外国人で盛り上がり、異様な空間となります。小学生の頃は、そこを自転車で通過したらヒーローみたいな可愛い風習もあったり。
バンドを組み、バイトも福生で、毎日のように福生で過ごすようになります。米軍ハウスに住む友人もでき、なにかあるとみんなで集まり庭でバーベキューをしたり音楽を鳴らしたり、まるでアメリカの生活です。
40年以上続く歴史あるライヴハウスもあります。セッションの日には外国人と日本人が入り混ざって演奏することも日常。
自分自身も、それをステージで初めて体感したときは、言葉が通じなくても音楽は一緒にできるんだと感動しました。
古き良き音楽、特にブルースやロックンロール、70年代のロックなど福生の音楽文化をこよなく愛する人達との交流の中で、僕はブルースやロカビリーと向き合うようになります。
なぜこの人達は音楽を続けてるのか?安定した生活よりも音楽を優先し、命を削って音楽と向き合い続ける。有名になりたいなんて言ってる人はほぼいません。その答えはあまりにも純粋で、"今夜歌わなきゃ明日を迎えられない"
そしてその純粋な気持ちは、夜な夜な走り回るバイク乗りや絵描きにも共通するような気がしました。
青梅や福生での暮らしは、知らぬ間に、僕の感性にかなりの刺激を与えてくれていたようです。
RYO NAKAYAMA